中国山地紅葉ツアー     fredy

国道(酷道?)488号裏匹見峡部分の道は異常なまでに曲がりくねっている。非常に気になったので紅葉を見に行くという理由をこじつけて現地へと行ってみることにした。

一日目 廿日市~匹見~戸河内

前日に輪行して廿日市まで行き、駅寝して5時ごろに出発する。とりあえず匹見峡のほうに行けばよいので、とりあえず国道488号を進んでいく。災害のため一部迂回させられたが、たいがいは交通量が少なく走りやすい道だった。特にもみのき森林公園付近は道幅が狭く交通量が少ないため、道の横を流れるせせらぎと周りの木々の紅葉の両方をゆっくりと楽しむことができた。

一度吉和の村に下ってから今度は三坂峠を登り始める。道はさっきと同じく一車線だが、紅葉の名所だけあって、車通りが多かった。何回か車同士の離合のおかげで止まらされたが、周りの景色が美しいのであまり気にならない。傾斜も最後以外は小さめで楽な峠だった。峠の上にはそれを示す看板もなく県境の標識があるだけで、あまり峠を上り詰めたという感覚は感じられなかった。峠を越えて島根県にはいると景色は一変した。これまでは渓流に沿った森の中を進む道だったのが、島根県にはいると一気に視界が開け、豪快な山岳路になった。紅葉で色づいた山肌はとてもきれいだった。見とれすぎて何度か谷底に落ちそうになった。

 峠を降りてしばらく進むと温泉施設があったので、食事を取って温泉に入る。温泉以外に売店や食堂も併設されていて、なかなか充実した観光施設だった。何の部屋かはわからなかったが、外に「駅」と書いた部屋があった。道の駅への昇格を狙っているのだろうか。

 休憩したら今度は表匹見峡のほうへと向かう。こちらのほうはさまざまな形をした、いわゆる「奇岩」というものが目玉らしい。何に見えるかを書いた立て札がそれぞれの岩の近くに立てられていたが、こういうものによくあるように、いわれて初めてそれと知れたり、言われてもなぜそうなるのかわからないものがとても多かった。

 渓谷を抜けたとことにある道の駅で休憩してから、今度は奥匹見峡へと向かう。もう暗くなりかけていたので、さっさと一番上の竜の頭まで登って、すぐに登山道を降りる。確かに自然が多いという触れ込みどおりではあったけれど、上まで登る経路を示すために、岩にスプレー書きするというのはいかがなもんでしょうか。

再び元走ってきた国道に戻る。この時点でもう三段峡に行くつもりはなくなっていたので、テン場の目標を戸河内にして出発する。途中の道戦峠を登っているうちに日が暮れる。

さっき休憩した道の駅にテン場ればほとんど走らなくてすむし、明日三段峡をめぐれるのだからそちらのほうがいいような気がするが、なんとなくそうすることが甘えであり、弱い自分自身に負けてしまうような気がしたので戸河内の道の駅まで30キロほどナイトランすることにした。

奥匹見峡は表匹見峡、裏匹見峡、奥匹見峡のほかにも前匹見峡というのもあるそうだが、マイナーなのか今回のツアーでは案内すら見かけなかった。いったいどこのことだったのだろうか。

2日目 戸河内~三次ワイナリー~東城

 テン場にしていたバス待合室を掃除しに来た人に起こされる。盆地であるせいか朝起きるとものすごく寒い。この日はひたすら三次ワイナリー、そして帝釈峡へと向かう。三次までは大体国道433号線を通っていったが、決して険しい道でもないのに、二箇所も全面通行止めになっていてへぼい国道だった。しばらく走ってワイナリーに到着する。期待通り試飲コーナーがあった。何種類かのワインの試飲機に混じってソフトドリンクのものも混じっていて、未成年者が大人に混じってワインを飲んでいてもまったくばれそうにない構造になっているのが印象深かった。

試飲を終えたら元の道を帝釈峡方面に向かって進む。結構アップダウンのある道だったが、ワインパワーのおかげで普段より楽に進めた。少なくともそんな気がした。通る道の近くに「日本ピラミッド」というなんとも雑学好きとしてはそそられる名前で呼ばれる山があったが、時間がなかったので無視した。帝釈峡手前の峠を上ったあたりで日が暮れた。もう日が暮れていたので何も見えないだろうと思いつつも、帝釈峡へと向かった。暗くてまったく景色は見えなかったが、帝釈峡の象徴でもある雄橋の姿は影ながらもなんとなく分かった。これは日本最大の石橋で、かつスイスのプレヒシュ、アメリカのロックブリッヂと並んで世界三大自然橋のひとつとされているらしい。雄橋はともかくとして、ほかの二つにまったく聞き覚えがないのは気のせいだろうか。

3日目 東城~帝釈峡~鯉ヶ窪~岡山

昨日は帝釈峡に北部から突入したが、昨日売店でもらった地図には南から入っていく道が書いてあったので今日は南から突入してみる。なぜか青看板に書かれた上下の文字に惹かれるが、振り切って南側に入り口に向かう。南側から入る道は遊歩道になっていた。観光客の姿もほとんどなく、道幅もそれなりにあったのでチャリで突入することにした。途中までは普通に乗っていけたけれど、途中で遊歩道は災害のせいで通行止めになっていた。仕方なく迂回路になっていた登山道を進んでいったけど、本当の意味の迂回路であって、展望がまるでなかった。もとあった遊歩道がかなり乗れる道だったようなので余計に残念だった。結局昨日通った道に戻っただけだったけど、機能は暗くて見られなかった景色が見られたのはよかったと思う。

帝釈峡を抜けて昨日のテン場の道の駅に戻るともう11時だった。なんとなくもうひとつ渓谷に寄りたかったので、井倉峡に向かうことにする。井倉峡へ向かうべく北上していると、道沿いに「鯉が窪」という道の駅があったので立ち寄ってみた。鯉が窪とはこの駅の近くにある湿地帯のことで、その植物の多様性から西の尾瀬とも呼ばれているらしい。湿原に行くには季節はずれのような気がしたが、4キロぐらいしかなかったので行ってみることにした。果たして何もなかった。季節が季節だけに一面の枯れ野原だったが、それでも観光客はいた。さすがは西の尾瀬だ。

湿地帯を一回りして道の駅に戻ると、後はひたすら岡山へ向かって走るのみだった。この時点ですでに2時半なのに岡山まではまだ100キロ以上を残していたので、もう観光している余裕はなかった。井倉峡は期待はずれだった。決して景色が悪いとは言わないけれど、この三日間で匹見峡、帝釈峡と回ったせいでどうしても評価が辛らつになってしまう。それ以上に終電に間に合わなければという意識が強かったのも、井倉峡の印象を弱くしてしまった原因かもしれない。結局岡山駅には終電の二時間以上前についた。


ツアーから帰ってきたすぐ後は、もう二度とソロツアーなんかやるかと思ったけど、少したってから考えてみると決して捨てたもんじゃないという気がした。特に、今回のツアーのように、予定を思い切り変更することができるという点は、大人数でいくツアーには決してありえない利点であると感じた。

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