EURAIL(ユーレイル)の旅

EURAIL(ユーレイル)の旅

山川(Ⅲ)

僕は8/309/18にドイツ、イギリスを旅してきた。かねてから気になっていた国で、今回念願かなってこの機会を得ることができた。ここでは行った街ごとに感じたことでも書いてみる。イギリスは鉄道発祥の国でありドイツも充実した鉄道網が発達した国であることから、内容が若干鉄道会員向けになっている点はご了承いただきたい。


Frankfurt 正確には「Frankfurt am main(フランクフルト・アム・マイン)」である。ドイツ国内には他にも「Frankfurt」と名乗る地名があるかららしい。そういえば後にベルリン近郊で乗った列車の停車駅にFrankfurtがあったような気がする。国際空港があるので日本からドイツに入った場合大体まず立ち寄るところだろう。新旧混在した町並みでビルの横に大聖堂(Dom)があったりして変な感じだったけど、どっかの都市で清水の舞台からJR京都駅舎を見るよりかは違和感がなかった。


Wiesbaden Frankfurtから近郊列車で30分ほどの温泉保養都市である。ここを訪れた目的は水力で走るケーブルカーがあるため。水力発電をしているのではない。頂上の車両のタンクに水を積んでその重みで下り、反対にケーブルでつながっている水タンクを空にしたもうひとつの車両を麓から引き上げていく仕組みなのだ。100年以上もこのしくみで動いているそうな。


Köln ドイツ版新幹線ともいえるICEInter City Express)でライン川沿いを行く。大河ってこんな川のことを言うんやな。ローレライの岩山やいくつもの城跡が見える。「世界の車窓から」に出てきそう(っていうか出た)。今日降りるところには駅前に世界遺産ケルン大聖堂がそびえている。大聖堂のてっぺん近くまで登る。膝痛いのに。


Bremen KölnからBremenまでは直通のICEでひとっとび、だったはずだが待てども列車は来ない。駅の張り紙にはなんだか分からないけど運休っぽいことが書いてある。慌てて時刻表で別ルートでの乗り継ぎ列車を探す。ユーレイルパスだとどの列車にも乗れるから助かった。僕の時刻表読解能力は世界に通ず?別ルートで行く途中の乗換駅Osnabrückで多数の人だかり、ちょっと待っているとSLがやってきた。つまり人だかりの正体はドイツのてっちゃんだ。その中に日本のてっちゃんが1人混じって写真を撮る。Bremenは絵本のような世界。音楽隊の像の場所が分からなかったのでおばちゃんに聞くと、「ウチノ旦那ニ案内サセルワ」と旦那さんをパシらせる。旦那さんありがとう、くれぐれも奥さんの尻にしかれんように。

Hamburg 高校地理でエスチュアリを習ったときに出てきたエルベ川沿いの都市。エスチュアリとは平野を流れる河川の河口付近が沈下した広大な入り江であり天然の良港であることが多い。ちなみに後で行くロンドンもそうだ。ここにはそれを確かめるために行った。ただそれだけである。教会の廃墟にある展望台にエレベーターで上がれるということで乗ってみたが怖い怖い。きっとムスカなら人がゴミのようだと言ってられるだろうが当方にそんな余裕はない。しかしてっぺんからハンブルク港を眺め、海に面していないのに巨大な港であることを確認できた。


Berlin 統合ドイツの首都である。その象徴ブランデンブルク門にはお土産に壁の破片の入ったキーホルダーが売ってある。いい商売してる。壁自体今はもうほとんどないがちょっとはモニュメント的に残っている。思ってたより低くて薄い印象だった。ここは世界の路面電車発祥の地でもある。ただし市内の旧東ドイツ域内のみに残っていて旧西ドイツ域内はモータリゼーションで消えてしまった。そういや日本の路面電車発祥の地には…(注:京都市です)。


Wernigerode 大都市ばっかりめぐってきたがたまには地方へ。ここは木組みの家並みが美しい。山手にはお城が建ちSL型のバスでアプローチ、とてもいい雰囲気だ。ただ地方なだけに外国人観光客は少なく英語がさっぱり通じないし、店も5時にはほとんど閉まってしまった。


Brocken 魔女伝説で有名な山だがむしろ「ブロッケン現象」の方で名が通っていないだろうか。標高は1142m。ここまでなんとSLで登れる。Wernigerodeからの標高差800mを息も絶え絶え登っていく姿は月並みな表現だが生き物のようだ。山頂付近で螺旋を描くように回り込んで頂上に到着。頂上からは360度の大パノラマ。下から登ってくるSLの姿もはっきりと分かる。ここは東西分裂時に東ドイツ側の国境付近だったため立ち入りができなかったそうだ。なんかの豆料理を昼飯に食べている最中老夫婦が話しかけてきたが言葉の壁で会話できなかったのが心残りである。生憎?ババ晴れのためブロッケン現象は現れず。


Hannover ドイツ最後の訪問都市。ヘレンハウゼン王宮庭園はこれでもかっていうほど広い。市庁舎に寄ると戦前と戦後の街の模型があったが、それによるとここはかなり戦災を受けたらしい。かつては市内中心部を路面電車が縦横無尽に走っていたが、今は中心部で地下にもぐり、郊外で道路上を走るといったようにうまく使い分けて走っている。日本の各都市もそうすればよかったのに。

Hannover→London 列車で国境を越えるのは初めて。しかも一日で4ヶ国を駆け抜けてしまう。まずはHannoverからICEKölnに戻る。陽気なドイツ人は車内で大合唱する。Kölnからは真っ赤な車体が眩いタリスParis行きに乗る。国際列車らしく車内放送は4ヶ国語が用意されている。山を越え右側通行から左側通行に変わるとベルギーに入る。山越えと言ってもたいしたものではなく、むしろ関が原を越えるほうがよっぽど国境を越えている感じがする。しかしすれ違う車両がボロッちいのでドイツを抜けたことが実感できる。Brussels南駅で乗り換え、時間に余裕はないが入国審査がありイギリス行き列車の警戒は厳重だ。夢に見たユーロスターに乗るが通路側座席で少々残念。だだっ広い平原の中を300km/hで突き進むといつの間にかフランス国内の停車駅に。国境を越えたはずだが何のアナウンスもなかった。実は日本製のユーロトンネルは海底部分の通過距離は世界一だが全長は青函トンネルのほうが長い。そんなことからイギリスでは、日本人に作らせたから全長を短くさせられたんだというジョークがあるそうな。


Isle of Wight Londonから日帰りの旅はヴィクトリア女王が最期を過ごしたリゾートの島へ。この島にはアイランドラインという元London地下鉄の車両が走るローカル私鉄があり、さらにはSLを運転している保存鉄道もある鉄分の高い島。イギリス国内には100もの保存鉄道がボランティアを中心にそれぞれ運営されており、ここもその1つである。こういう活動を日本も見習わねば。


London その名も高い大英帝国の中心地。とにかく見所が多い。大英博物館だけでも一週間はつぶせるだろう。ギリシャやらアフリカやらからの芸術品を取ってきすぎやろ。バッキンガム宮殿の前では衛兵が交替式をやっていた。ビックベンも見たけどそういえばまだ母国の国会議事堂を見たことないな。ロンドン・ブリッジは思ってたよりもただの橋、むしろ隣のタワー・ブリッジの方が跳ね上げ式でおもしろい。そんなロンドンには地下鉄が便利。現地のICカードを購入して使った。ICOCAすらまだ持ってないのに。


York イングランド中部の都市。New Yorkがあるくらいだからそのお膝元も大都市かと想像していたが、実際はこじんまりした風格ある街であった。とはいえかつては物流の拠点だったそうである。ここにはナショナルレイルミュージアムがあって、日本の新幹線車両の実物が展示されている。実はこの車両は中学生のときに新下関駅で写真を撮ったことがあって、それ以来の再開だった。


Edinburgh 悲劇の女王メアリー・スチュワートの舞台となったエディンバラ城がそびえる城下町。その悲劇を物語るかのようにこの街に滞在中はずっと霧か雨、城がいっそう霞んで見えた。ここは街全体が世界遺産になっていて、重厚な町並みにスコットランド王国の中心地としての歴史の重みに触れた気がした。

Inverness Inverとは河口という意味。つまりNess川の河口にある街ということである。Ness川の上流にはNess湖がある。そう、ここにはネッシー伝説の湖なのだ。実際に何十年にも渡ってかなり踏み込んだ調査がなされているそうだ。しかし湖自体は元々生物多様性に乏しいそうで、付近に古城が点在しているくらいでありネッシー伝説がなければわざわざ足を運ぶほどの所かと思う。いや、そんな夢のないことを言わないでおこう。きっといるんやろうな?今回は会えなかったけど


おわりに この旅は元々ポスト夏のつもりであった。しかし春先からのふくらはぎの肉離れが治らず結局夏合宿に行けなかった。結果的にではあるが夏合宿に行ってないのにこっちにはちゃっかり行くことになり、実際旅の途中でも自分は部員としてどうなのか?と後ろめたい気持ちが付きまとっていた。そんな中帰ってからみんなに会うと、「まあええんちゃうの?」とか、「山川夏合宿行けなくてどうしてるか心配だったけど、ちゃんと楽しんできてくれて安心したよ」とか、「うちの部に夏合宿行ってないからだめやって言うような右翼的な愛部主義みたいなのはおらんのちゃうの?相武主義やったらおるやろけど(byタニグ)」とかいった声をかけてくれて、本当にありがたかった。みんなの暖かさに感謝したい。


行程概略図

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