ほろびゆくもの ~滋賀・三重県境周辺廃墟探索ツアー~

ほろびゆくもの
~滋賀・三重県境周辺廃墟探索ツアー~
12/10 (日) 面子:中嶋(企画、文章)、前田 
 金曜の晩にボックスで呑んでいるときに、滋賀県と三重県の県境周辺の廃村や廃鉱がすごいという話を聞き、早速
日曜日に行ってみることにしました。というのも、ちょうど 11 日から滋賀県と三重県をつなぐ鞍掛峠が冬期閉鎖らしいと
いう情報を得たからです。まあ、冬期閉鎖されてもチャリならいくらでも行ける気はしますが…
・廃村向之倉
 滋賀県で 1、2 を争う秘境系廃村です。多賀町を流れる芹川沿いの県道 17 号から急勾配の簡易舗装林道を 200up
ほど進んだところにありました。ほんとにありえないロケーション。もっと川沿いに住めばいいのになぜこんなところに集
落つくるのか全く理解できません。林業の関係とかなんでしょうか。今でこそ一応車道はついていますが、集落にまだ
人が住んでいた頃は、登山道を登るしか集落に行き着くことができなかったらしいです。なるべくして廃村になった、そ
んな印象をうける集落でした。
建物は 10 軒程度残っていました。半壊、全壊しているものが多く、その朽ち果て具合が絶妙でした。ほろびゆくも
のの美しさ、そんな言葉が似合う場所でした。あと、どうでもよいことですが、ここもそうだったのですが廃墟にはほぼ必
ずと言ってもよいほど一升瓶が落ちてます。やはりお酒は昔から欠かせないものだったことがうかがえます。
・杉坂峠
 山肌を強引に九十九折れて上っていく系のなかなか攻めた峠道でした。一応冬期閉鎖にはなっていましたが、なぜ
か何台も車が通っていました。地元民にとっては欠かせない道なのかもしれません。でも、この先は生きている集落は
ほとんどなかったような…
 しんどさは花背+α ぐらいでしょうか。いや、空荷ランドナーでところどころインナーローを使っていたところをみると、
かなりきつかったかも。単に私が衰えているだけかもしれませんが…
 ただ、途中から彦根周辺の平野部、そして琵琶湖を見下ろせることができ、風景的にはかなりよかったです。滋賀県
は山で囲まれていますが、琵琶湖を見下ろすことができる道というのは意外に少ないのです。そういう意味ではなかな
か貴重な峠かもしれません。
・五僧峠と廃村五僧
 廃村杉、冬期無人集落保月を経て、県道 139 号を進むと、谷へ降りるダウンとなりました。この谷の岩盤は白っぽい
石灰岩でそれが枯れて白っぽくみえる木々とマッチして、なかなか幻想的な風景でした。その谷から林道で少しアッ
プすると滋賀県と三重県の県境である五僧峠です。
 この五僧峠はかなり歴史のある峠で、たとえば関が原の戦いの後、西軍の名将島津義弘が敗走後、薩摩まで退却
する際に越えたとか、明治初期の桑名騒動の際には、彦根藩兵が防衛のために大砲を分解してここまで担ぎ上げた
とかという記録が残っています。こんな先人たちの苦労を考えれば、チャリでのんびり訪れることできるなんて、本当に
平和な世の中に感謝しなくてはなりません。
 五僧峠のすぐそばにも廃屋が 2、3 軒残っていました。そのうちの 1 軒は保存状態がよく、入り口が開いており、中に
入ることができました。中には家具や生活雑貨が散乱しており生活感を思いっきりとどめていました。なぜか小学生の
通信簿まで残されていました。成績はご本人のプライバシーのために伏せておきますが、年度は昭和 30 年代で、50
年近く前に人が立ち退いたことがわかりました。とても 50 年前の家屋とは思えませんでした。普通に泊まれそうな感じ
なので、クリ八の代わりにクリ五とかできそうです。いや、なんでもないです。
 昼食後、三重県側に担ぎ下ろしました。何度か道を見失いそうになりつつも 30 分ほどで谷に下りることができまし
た。そこでふと見上げると 10m ほど上方に真新しいガードレールが!持ってきた地図によればもう少し谷沿いに下ら
なければ車道に出られないはずでしたが、どうやら道路工事が進んでいる模様でした。ちょっと強引に担ぎ上げて車
Page 2
道に出ました。見た感じかなり急ピッチで工事が進んでいる模様。ここの道を延ばしても何のメリットもないような気はし
ますが…まあ、この道ができていたおかげで時間を短縮できたので感謝しておきましょう。
・廃鉱白石
 鞍掛峠の三重県側の上り口付近にある、石灰岩採掘工場跡です。「白亜の迷宮」という異名を持つ巨大な廃墟群で、
「廃」業界でもかなり有名なスポットらしいです。この廃墟はとにかくその外観が圧巻です。植物が絡まる巨大なサイロ、
錆びきった建物、そしてその背景には切り立った真っ白な石灰岩の崖、そのコントラストが素晴らしかったです。
 もちろん内部もさまざまなものが散乱しており見所満載でした。廃墟に関しては全く素人なのであまり深入りはしませ
んでした※注が、廃墟マニアなら本当に 1 日中楽しめそうな場所でした。
・鞍掛峠
 鞍掛峠を上るのは 1 回生の耐久ラン以来、実に 4 年ぶりです。1 回の時はアップがめちゃくちゃ苦手で、上っても
上ってもトンネルは見えず、半泣きになっていた記憶がありますが、今回は 5 年間の蓄積のおかげか、かなりあっさりト
ンネルに到達しました。ずっと昔に上った峠に久しぶりに行くといろいろな思い出がこみ上げてきて、なかなか感慨深
いものがあります…ってなんか年寄りのせりふですね、気をつけなければ…
 まだ、時間に余裕があったので、トンネル入り口そばから延びる登山道で、本当の峠まで担ぎ上げることにしました。
この登山道は路面はとてもよく、トレールライドのうまい人なら乗り乗りで下れそうな感じでした。ただし、傾斜は結構あ
り、担ぎ慣れていない私にはなかなか堪えました。30 分ほどで峠に到着。かなり尖った感じのきれいな峠でした。標高
はトンネルよりもほんの 200m 弱高い 791m ですが、驚くべきことに三重県側は伊勢湾まで眺めることができました。担
ぎのごほうびですね、これは。また 30 分ほど担ぎ下ろすとトンネル滋賀県側の入り口そばに出てきました。担ぎ入門と
してはかなりお手ごろの分量でした。その後、彦根方面に下って行程終了。ちょうど日が暮れる間際で、1 日を過不足
なく最大限に利用できた感じで、個人的には非常に満足でした。
 白黒ではわかりづらいと思いましたので、ここには写真は載せませんでした。代わりに、Yahoo!フォトにアップロードし
ましたので、時間のある方は見てみてください。 http://photos.yahoo.co.jp/nakazuo0408
 滋賀県は琵琶湖だけだろと思っている人が多いと思いますが、そんなことは断じてありません。確かにマザーレイク
琵琶湖は滋賀県の誇りです。でも、それを囲む山間部にこそ、滋賀県の真髄がある。これが、今回の日帰りツアーで
受けた印象です。
 滋賀県というのは、普通のツアーで行くには近すぎ、日帰りで行くには遠すぎという、微妙な場所です。しかし、輪行
費を払ってでも行く価値のあると私は断固主張したいです。今回は彦根の東の方を重点的にまわりましたが、他にも
面白そうなスポットはいくらでもあります。最近、私はカレーおじさんという肩書きとは別に、至高の滋賀県日帰りツアー
プランナーとしての地位を確立しようと企んでます。というわけで、気が早いですが次回予告をしておきます。
※注 
廃墟、特に廃鉱や廃工場は、倒壊、床抜け、毒物、住人(浮浪者など)による強盗・暴行、野生動物(野犬など)の襲来、死体との
遭遇など、危険が満ち溢れております。なので、ソロで行くのは避け、また経験に応じた探索を心がけ、無謀な深入りはしないよ
うにしましょう。
 滋賀県日帰りツアー第 2 弾
 「滋賀県最奥の廃村茨川探訪と鈴鹿山系藤原岳登山」
 日時:2007 年春
 行程:近江八幡~国道 421 号~茨川林道~茨川~藤原岳登山~茨川~近江八幡
 廃村茨川は滋賀県の最奥と呼べる場所にあります。残念ながらあまり建物は残っていないらしいで
すが、雰囲気はよいらしいです。この廃村を専門に研究している人もいるそうな。茨川探索後、チャリ
をデポして藤原岳に登ります。藤原岳は鈴鹿山系の主要な峰の 1 つで、なんと天気がよければ山頂
から白山、乗鞍、御岳などが見えるらしいです。私は夏合宿岩佐班で御岳に登りましたが、天気が
悪かったせいで、いまだに御岳の雄姿を拝んだことがありません。なんとか、この機会に眺めようと
思っています。というわけで、次回も滋賀県を満喫できるプランを考えていますので、ぜひご参加く
ださい。

0 件のコメント: